1993年にリリースされた作品。
プロデューサーにインディーシーンで定評のある、スティーヴ・アルビニを起用し、アンダーグラウンドへの回帰を掲げた意欲作である。
楽曲は前作『NEVERMIND』のメジャー志向から一転、カートの内面に切り込んだダークな内容となっており、他者からの愛を切望しながらも、その愛にどう対峙したらよいかわからずに苦悩し拒絶してしまう男が、音楽に救いを見出そうと必死で抗い続けてきた姿が、このアルバムには刻まれている。
このアルバムの発売の翌年、全世界を揺るがす「事件」が起きた。
シアトルの自宅でカート・コバーンが自殺してしまうのである。
自宅には遺書が残されていた。
『カート・コバーンの遺書』
------------- 遺書の和訳(他のサイトからの転載)-------------
オレは音楽を聴いたり、クリエイトしたり、そして読むことにも書く事にも随分前から冷めてしまった。それについては言葉で言い表せないくらいの罪悪感を感じている。
例えば、オレ達がバックステージにいて客電が落ち、群衆の興奮した叫び声が起こっても、あのフレディー・マーキュリーには効いたような作用は自分にはなかった。彼はその瞬間を愛しみ、群集からの愛や崇敬を受ける事を楽しんでいたようだけど。
そんな彼をオレは手放しで素晴らしいと思うし、羨ましくもある。正直オレはみんなをごまかせないんだ、みんなの誰をも。それはみんなにとっても自分にとっても公平じゃないから。
オレが考えられる最大の罪とは、オレが100%楽しんでるって偽ったり、そんな素振りをしてみんなから金を巻き上げる事なんだ。時にオレはステージに上がる前にタイムカードを押すように感じるときがある。
感謝しなくちゃいけないんだって出来る限りの力を尽くしてがんばってみた。(本当なんだ、信じて欲しい、それでも足りないんだ)。オレやオレ達が沢山の人達に影響を与え、そして楽しんで貰えた事は重要だと思っている。オレはきっと全てを失ったときに初めてそのありがたみが分るナルシストの一人なのかも知れない。オレは繊細すぎるんだ。子供の頃のような元気を取り戻すにはちょっと鈍感である必要があるんだ。過去3回のツアーのおかげで、個人的に知り合った人やオレ達の音楽のファンのみんなへも、今まで以上のありがたみを感じた。それでもフラストレーションやみんなへの罪の意識やみんなへの感情移入を解決する事はできないんだ。
みんな誰にもイイところがあって、オレは人を好きになり過ぎてしまう、そしてそれが強すぎるおかげで、自分がひどく哀しくなるんだ。
オレって哀れでちっぽけで、繊細でありがたみを知らない魚座なんだよ、まったく、なんでただ楽くやれないのかよ?分らないんだ!
オレは野望と思いやりに溢れたがんばり家の女神を妻に持ち、かつてのオレに良く似た娘は愛や歓びに満ち、彼女に善くしてくれる無害な人たちみんな誰彼なくキスをする。そんなことがオレに収拾がつかないほどの恐怖感を与えるんだ。
フランシスがオレのように惨めで、自棄なデスロッカーになるなんて想像に耐えられない。良い時期もあって、すごく、自分でもありがたいと思えるような、でも7歳くらいから人間嫌いになった。その理由はすぐ人と打ち解け、感情移入してしまうからなんだ。人を愛したり、同情し過ぎてしまうのだと思う。胸焼けして、むかむかするこの胃袋の底から、ここ何年かの内に手紙をくれたり心配してくれたみんなにありがとうと言いたい。オレは気難しくて、ムディーで、ベイビー過ぎるね!オレにはもう情熱がない、だから思い出してくれ、フェイドアウトするより燃え尽きた方がマシってね。
ピース、ラブ、エンパシー(共感や感情移入〜カートがよく言う言葉) カート・コバーン
フランシスとコートニーへ、オレは仏壇にいるよ。コートニーへ、フランシスの為にがんばってくれ。彼女の人生にとって、オレなんかいない方が幸せだと思う。アイ・ラブ・ユー、アイ・ラブ・ユー!
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発売当初は前作と同路線を期待するリスナーからの拒否反応もあったが、実際には『NEVERMIND』のニルヴァーナの姿こそが作られたものであり、こちらの方がより本来の姿に近いといえるだろう。
『Serve The Servants』は最初の音が不協和音であったり、『Very Ape』の狂気染みたハウリングから「ノイズと言う名の芸術」と言う異称を持つアルバムでもある。
ニルヴァーナ最期のオリジナルアルバムとなってしまった訳だが、このアルバムの随所で、もしかしたら以後さらに展開していくはずだった可能性が垣間見られる。
『IN UTERO』の楽曲リスト
01 Serve the Servants
02 Scentless Apprentice
03 Heart Shaped Box
04 Rape Me
05 Frances Farmer Will Have Her Revenge on Seattle
06 Dumb
07 Very Ape
08 Milk It
09 Pennyroyal Tea
10 Radio Friendly Unit Shifter
11 Tourette's
12 All Apologies
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